オーバーステイしている場合どうすればいいのか
現在日本の不法滞在者は2020年の時点で8万2892人いるという統計が出入国在留管理庁から発表されています。一口に不法滞在といっても人によって事情が異なり、悪質なものからやむを得ない事情で日本に滞在している方まで様々でしょう。
では在留期限が過ぎて不法滞在をしてしまった場合、具体的にどのような手続きをしてどのような処分があるのでしょうか。
不法滞在の種類
以下の2種類があります。
①不法残留=オーバーステイ(適法な許可で来日していたが、現在は許可が切れている状態)
観光など「短期滞在」の許可で入国、その在留期限後も日本に滞在し続けているなど。
②不法在留(不法入国、不法上陸によって滞在をしている状態)
*上陸審査を受けていない密入国、偽変造旅券などを使い許可を受けている状態など
まず自主出頭しなければ始まらない。
不法滞在から適法なビザに切り替える申請はありません。
しかし、自ら出頭することによって摘発された場合に比べて軽い処分ですむこともあります。
自ら出頭した場合、次の三つのパターンが考えられます。
①出国命令手続き
自ら出頭した場合に限り比較的違反程度が軽いケースにおいては出国命令制度の利用が可能です。退去強制になってしまうと最低5年間は再入国できないのに対し、出国命令の場合は1年と比較的軽い処分になっています。
②退去強制処分
出国命令制度の条件に当てはまらない場合、直ぐに帰国したいなら退去強制処分となります。
③在留特別許可
日本人と結婚しているなどの特別な事情がある場合は在留特別許可が認められる場合があります。
自主出頭しても在留特別許可を獲得できなかった場合が、出国命令手続き、出国命令手続きの要件にも当てはまらなければ退去強制(強制送還)されることになります。
当然ですが、在留特別許可を貰えなかったからといって、元のまま不法滞在・不法在留(オーバーステイ・不法残留、不法入国、不法上陸)で居たいというわけにはいきません。
以下でもう少し詳しく説明していきます。
出国命令
出国命令制度の利用
在留期間を経過したまま日本で生活している外国人で帰国を希望している方は,収容されることなく,簡易な方法で手続ができる「出国命令制度」を利用して帰国することができます。
前述した通り、退去強制手続により帰国した場合,最低5年間は日本に入国することはできませんが,「出国命令制度」で帰国した場合,その期間は1年間となります。但し、1年後の日本入国を保証してはいません。
また出国命令の手続では帰国便チケットを用意できなければなりません。
違反状態でも以下の条件を満たす場合には、出国命令制度を利用して帰国する事が可能です。
次のいずれにも該当
ア 速やかに日本から出国する意思を持って自ら入国管理官署に出頭したこと
イ 在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと
ウ 入国後に窃盗等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられていないこと
エ 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
オ 速やかに日本から出国することが確実に見込まれること
退去強制
退去強制処分では最低5年間再入国できません。
出国命令制度の条件に当てはまらない場合、退去強制処分に該当します。違反状態や違反歴によっては出頭した時に収容されます。
ただし「出国命令制度」の対象に当たらないものの,自ら入国管理官署に出頭した方については,仮放免の許可により,収容されることなく手続を進めることが可能です。
また、退去強制処分を受けても出国できない場合も収容されます。
在留特別許可
日本人や永住者・一年以上の定住者などいわゆる別表第二に掲げられている在留資格の恋人、配偶者などがいる場合には、在留特別許可が認められることがあります。
在留特別許可は通常の在留関係の手続とは異なり、在留特別許可を求めて申請する行為は存在しません。退去強制手続を進められた結果、最終処分として受けられる例外的で”特別”な判断です。
別表第二
在留資格 | 本邦において有する身分又は地位 |
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の 子として出生した者 |
永住者の配偶者等 | 永住者の在留資格をもって在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と総称する。)の配偶者又は永住者等の 子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している 者 |
定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して 居住を認める者 |
また、在留特別許可に係るガイドラインでは日本人と婚姻が成立している場合などのほか,(1)自ら入国管理官署に出頭申告したこと,(2)日本の初等・中等教育機関に在学し相当期間日本で生活している実子を監護及び養育していること,(3)日本での滞在期間が長期に及び定着性が認められること等が挙げられています。
在留特別許可が認められた例、認められなかった例
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan25.html
在留特別許可に係るガイドライン
http://www.moj.go.jp/content/000007321.pdf
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